サツマイモ基腐(もとぐされ)病の発生生態と防除対策について
令和3年度病害虫防除情報第1号
サツマイモ育苗ほ場においてサツマイモ基腐病の発生が確認されています。
今後の発生拡大防止のため、苗消毒を徹底しましょう。
1 作物名:かんしょ
2 病害虫名:サツマイモ基腐病
3 サツマイモ基腐病の特徴
本病は、主に感染苗のほ場への持ち込みや、土壌中に残った前年の被害残渣により発症する。特に、未発生地への侵入は、「見かけ上健全だが本病原菌に感染している苗や種イモ」を介しての拡大が懸念される。
本病においては、採苗位置を上げ、苗消毒を徹底することで発病リスクを低下できることがわかっており、苗消毒の徹底が発生拡大防止のため重要である。
4 苗消毒のポイント
(1)苗床に本病が発生した場合、症状のある株は速やかにハウス外に持ち出し、適切に処理する。
(2)ベンレート水和剤またはベンレートT水和剤20を用いて、必ず苗消毒を行う。また、消毒液は充分量を準備し、使用する当日に調整したものを用いる(表1)。
(3)採苗の際は、苗床の地際部から5cm以上離して採取し、採苗時のハサミはこまめに消毒(火炎滅菌または丁寧な洗浄と拭き取り)する。
5 本ぽにおける対策のポイント
(1)定植後に発病した株は、症状の進展とともに、病斑部に大量の胞子を形成し降雨等により周辺に拡がることから、ほ場での発生の有無をこまめに確認し、発病株の早期発見・除去に努める。発病株を見つけた場合は、早急に抜き取り、その場でビニール袋などに入れてほ場外に持ち出し、適切に処分する。
(2)周辺株への伝染を予防するため、銅剤での予防散布を行う。散布の際は、株元にしっかり薬液がかかるよう注意する。
2021年4月現在、2種の銅剤(ジーファイン水和剤、Zボルドー)とアミスター20フロアブルが登録されているので、使用基準に従って適切に散布する(表2)。
(3)薬剤防除にあたっては、銅剤での予防を基本とし、アミスター20フロアブルは、耐性菌が発生するリスクがあるため、連用しないよう注意すること。
更新日:2021年04月19日