農作物の災害対策
台風・強風・大風等への備え、対策について
近年、環境の変化により台風等自然災害が甚大なものとなっており、農作物に対しても深刻な被害をもたらしています。
台風や大雨による被害やその後の影響を軽減するためには、事前、事後の対策が不可欠です。災害が起こっても早期に営農再開できるよう事前の対策を十分に行いましょう。
台風・強風・大雨対策について(施設野菜)
(1)事前対策
1.ハウスバンドを点検し、ゆるみがないよう、しっかりとビニールを抑える。
2.ビニールの破損や隙間を点検し、破損個所は早急に補修する。
3.ビニールの上から防風ネット等を被覆し、ハウスバンド等で固定すると強度は増す。
4.ハウス妻部には筋交いを入れて補強する。
5.強風によりハウス倒壊の危険がある場合(風速25メートル以上)は、押さえバンドを切ってビニールを除去する。
6.ハウスの周囲は滞水しないように排水溝等を整備する。
7.防風ネットの設置してあるほ場においては、根石や支線の点検を行い、風雨により強度が低下しないような対策を講じる。
8.ハウス周囲を点検し、強風で飛びそうなものはものは片づけるとともに、燃料タンク等の付帯設備がしっかり固定されているかを確認する。
(2)事後対策
1.強風が収まったら、直ちに換気を行い、補強で使用した防風ネット、寒冷紗等も除去する。
2.ビニール等の破損により生じた、損害果や幼果は摘果して、草勢の回復を図る。
3.湛水した場合速やかに排水を行う。
4.草勢の低下や茎葉が損傷すると病害が発生しやすいので、登録農薬を散布する。
5.即効性窒素肥料を成分で10アールあたり2~3キログラム施す。
※品目ごとの詳細については下記リンクを参照。
台風・強風・対策について(露地野菜)
・事前対策
強風、大雨が予想されるので、排水溝の整備やトンネル被覆されている場合はトンネルが剥げないように、バンドのチェックや被覆ビニールの補修を行い、低温にも対応する。
・事後対策
下記リンクより各作物毎の項目を参照。
重油流出の対策について(施設園芸)
(1)事前対策
1.施設栽培の場合は、重油タンクの周りに防油堤を設置し、万が一タンクが破損しても、重油を外に漏らさない対策を講じる。
2.施設栽培終了後は極力、タンクに重油が残らないよう給油量を調整する。
3.ほ場内に漏れた油が侵入しないよう、普段から側溝等の整備を実施する。
(2)事後対策
1.ビニル・ポリにかかわらず油で変成しもろくなっているので破棄する必要がある。
2.ハウスの鉄骨にも重油が付着しておりこの上にビニル等を展張すると、新しいビニルが変成することから、鉄骨の重油は除去する。
3.除去方法は、家庭用洗剤で拭き取るか、家庭用洗剤を希釈し霧吹きで吹き付けた後(日が経つにつれ除去し難くくなるので事前に濃度検査をする)、動噴で洗い流す。
4.ジェットスチーム(高圧洗浄機)で水を吹き付けても除去できると見込まれるが、大量の水がほ場に入ることになり土壌乾燥が進まないので良くないと考える。
5.鉄骨の油分の除去には、膨大な労力が必要となることから、少なくとも、谷部、ビニペット部は必ず除去し、その他の鉄骨も確認できる油分は除去しておく必要がある。
6.漏れた重油量が少ない場合は、土壌中の微生物により分解されて、作物に対する影響が少ないが、大量の重油が漏れた場合は、影響が長期化するため、土壌を除去して適正に処理する。
7.重油が漏れたほ場で栽培された農産物からの重油臭の有無を確認する。
重油流出の対策について(普通作物)
(1)事前対策
1.流入した油は布や紙に吸着させ回収する。特に湛水時の場合はオイルフェンスを利用したり、風の吹き寄せを利用し効率よく回収する。
※界面活性剤は水稲生育中は二重被害となるので、使用しない方がよい。
2.水尻を止め、河川や水路に油が流れ出て被害が拡大しないようにする。
3.湛水時に油が流入した場合は、自然落水後に土壌を乾燥させ分解を促す。
4.コンバインや乾燥機等を介して油臭が移り、被害が拡大するので収穫は行わない。やむなく刈る場合は、油付着が地際のみで油臭が移るおそれが無いことを確認した上で、コンバインの刈刃位置を高くして収穫する。
(2)事後対策
1.油が表土に残っている場合は、酸化や紫外線での分解促進ため耕起せず、石灰資材を散布する。
※分解の目安は、1ヶ月で50%、3ヶ月で75%程度とされているが、条件により異なるので、適宜状況を確認する。
2.油がほ場の深い位置まで浸透している場合は、土を入れ替える。
各品目ごとの対策については下記リンクを参照。
更新日:2023年06月06日